分隊長ハンドブック ※書式→右端で折り返すにすることにより、読みやすくなります。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― Section [Troop Leading Procedures:TLPs] "部隊指揮手順"  1. Receive the Mission. 任務の受領  2. Issue the Warring Order. 準備命令の発令  3. Make a Tentative Plan. 初期の作戦決定  4. Initiate necessary movement.初期の作戦の開始  5. Conduct Reconnaissance. 偵察の実施  6. Complate plan. 最終的な作戦決定  7. Issue orders. 最終的な作戦の下達  8. Supervise and Refine. 監督及び改善 ―――――――――――――――――――――――――――――――― Section [Military Decision Making Process : MDMP 軍事意思決定過程]  1. 任務の受領    (準備命令)  2. 任務分析    (準備命令)  3. 状況及び行動方針  4. 各行動方針の分析  5. 各行動方針の比較  6. 結論    (準備命令)  7. 命令の作成及び下達    (予行)    (実行及び監督) 2~5までは状況判断にて解説する。 ------------------------------------------------- 準備命令(Warning Order : WARNORD)とは、命令下達に備えて指揮下部隊に、予定される行動の各種準備を事前にさせておくためのものである。この準備命令を活用することにより、指揮下部隊と緊密な行動に向けた準備を行えるようになる。 MDMPでは、まず上級部隊指揮官より任務を受けたら、これを直ちに準備命令化し、指揮下部隊に下達する。準備命令を受けた指揮下部隊は、上級部隊指揮官と平行線上あるいは一足遅れでMDMPを開始する。 次に任務分析を終えた上級部隊指揮官は、それを含めた具体的な任務達成の行動への準備命令を下達する。 つまり一回目の準備命令では、受領した任務をほとんどそのまま迅速に伝える。二回目の準備命令では、任務達成の行動に向けた具体的な準備の要領を下達することになる。 結論が出た後の準備命令では、命令の作成及び下達までの時間の間に、決定された行動方針を下達し、予想される行動への最終的な準備をさせる。こうすることにより、命令下達後に行動の準備をするのではなく、命令下達前からある程度、決定された行動方針の準備を行うことが出来る。つまり命令下達時には、もう部隊は任務達成への準備がほとんど整った状態になっているのだ。 ------------------------------------------------- (7)命令の作成及び下達(Orders Production, Dissemination)とは、結論にて最良と判断された行動方針を指揮下部隊に実施させるため、それに必要となる命令の作成と下達を行う動作である。原文には通常、Transition (移行)も書かれているが、ここで紹介するMDMPでは、その移行の具体的流れ(予行。実行及び監督)を載せているため、省略した。 ------------------------------------------------- 予行(Rehearsal)とは、自衛隊にて戦闘予行という。下達された行動方針に従って部隊が行動する様子を、地図や砂盤、実際の現場と似た場所にて再現、予行することにより、発生する様々な障害への対応法などを隊員に理解、記憶させることができる。 自衛隊では、この戦闘予行の前に戦闘指導も実施する。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― Section [状況判断]  1. 任務分析  2. 状況及び行動方針  3. 各行動方針の分析  4. 各行動方針の比較  5. 結論 ―――――――――――――――――――――――――――――――― Section [任務分析 : Mission Analysis : MA] 任務分析とは、与えられた任務の"達成すべき目標"と"その目的"を明らかにし(野外令)、戦術的な問題を定義し、実現可能な解決策を模索(米軍)するものである。MDMPには、任務分析が必要不可欠であり(米軍)、状況判断では任務分析が基礎とされる(野外令)。 任務の分析に当たっては、任務に基づき具体的に達成すべき目標とその目的とを明らかにする。任務は通常上級部隊指揮官から達成すべき目標又はこれと目的とを以って示される。(野外令) 上記の通り任務分析では、"達成すべき目標"と"その目的"を明らかにすることが重要である。これを割り出すため、下記の手順を踏む。 1. 任務の具体的な内容  ・5W  ・その目的 2. 地位  ・自身や部隊の立ち位置 3. 役割  ・自身や部隊の仕事 4. 具体的な目標  ・必成目標(達成すべき目標:下限)  ・望成目標(達成するとよい目標:上限) (2)地位とは、部隊内での自分や部隊の立ち位置のことである。主攻なのか助攻なのか、主力なのか予備なのか、前衛なのか、主力なのか。援護なのか、攻撃なのかなど、自分の部隊内での立ち位置を明確に解明する。 (3)役割とは、部隊内での自分や部隊の仕事のことである。主攻として何をしなければならないのか、助攻としてなにをしなければならないかなど、自身のやるべきことを明確に解明する。 (4)具体的な目標の上限とは、望成目標のことである。具体的な目標の下限とは、必成目標のことである。必成目標を知ることで、任務を実行するにあたり、最低限達成しなければならないことを明確に割り出せ、望成目標を知ることで、その任務にて達成すると望ましい、最上限の目標を解明することが出来る。 要は任務とは、最低限達成しなければならない目標と、達成すると望ましい目標とで構成されている。任務分析では、まずこの二つを割り出すことが、重要である。 ☆任務とは☆ 目標の下限(必成目標)   ↑↓ この範囲内のことを完遂することが、任務達成である。 目標の上限(望成目標) この範囲内が任務である。要は一つの任務の中に、いくつもの目標が詰められているのだ。 "例" 1. 「Obj Alphaを制圧しろ」 → 必成目標「Obj Alphaの制圧」   望成目標「敵逆襲に備え防御準備」 2. 「CP2まで前進しろ」  → 必成目標「CP2までの前進」 望成目標「敵の前衛の後方主力の解明」 3. 「宿題をしろ」 → 必成目標「宿題の完了」 望成目標「予習復習の実施」 4. 「かなづちを持ってこい」 → 必成目標「かなづちを持ってくる」 望成目標「釘も持っていく」 また複数の任務がある場合、その優先順位や時期的関係なども明らかにする。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― Section *作戦命令* Operation Order : OPORD (SMESC) ※命令下達の際、使用する 部隊区分 : 命令を下達する部隊の区分。 Ⅰ. 状況 : 必要不可欠な状況や情報を指揮下部隊に付与する。  A. 敵部隊   1. 天気、光度、湿度、日の出、日の入り、月の出、月の入り、月齢(月明り)、照明(人工的な)、風速、風向、第二薄明開始時刻(BMNT)、第二薄明終了時刻(EENT)   2. 地形 (OCOKA)   3. 敵軍の種類及び構成。(装甲か、機械化か、自動車化か、など)   4. 位置(複数可) 潜伏の可能性がある地域なども。   5. 活動(攻撃しているのか、哨戒しているのか、防御しているのか、後退しているのかなど)   6. 戦力、士気、装備、能力   7. 最も可能性の高い敵の行動  B. 我部隊   1. 任務や構想から考えられる上級部隊指揮官の意図   2. 位置及び行動計画。関係部隊および隣接する部隊の行動がどのように影響するのか。砂盤などでその場所を指摘。   3. 火力支援を行う部隊 : 中隊、迫撃砲、大砲、CAS(近接航空支援)、海軍の艦砲など  C. 配属と欠除   1. 配属部隊 : 我が部隊に配属された部隊   2. 欠除部隊 : 我が部隊から外された部隊 Ⅱ. 任務 : 部隊の任務を"簡潔、明瞭"に述べ、"その目的"を示す。任務は必ず二分されて示さなければならない。   〇5W ・だれが "Who"    ・なにを "What"    ・いつ "When"    ・どこで "Where"    ・なぜ "Why"   ○その目的 Ⅲ. 構想 : 作戦の要領。ビジョン。どのように "How"  A. 方針   ・行動方針の最初から最後までの流れを説明。指揮官の企図と計画の考え方を述べる。また部隊ごとにやるべき事項をまとめて述べなければ、混同が発生する可能性がある。    1. 機動 : 機動に関するすべての事項。     ・中隊の達成すべき目標      ・小隊の達成すべき目標     ・中隊の任務     ・小隊の任務     ・移動位置     ・移動要領     ・方向     ・行進順序     ・間隔     ・各部隊の任務     ・各部隊の位置      など    2. 火力 : 火力に関するすべての事項。     ・射撃優先順位 "Priority of Fires : POF" 火力運用において、特定の方向に火力の配分や指向を優先する順位。     ・目標優先順位 "Target Priority" 目標に与える重要度の順位。原則としてこの順番に攻撃を実施する。     ・目標番号     ・座標     ・射撃要領      など  B. 各機動部隊の任務    ・各指揮下機動部隊の任務を示す。      中隊命令ならば、各小隊に。小隊命令ならば、各分隊に。分隊命令ならば、各班や各員に。       C. 各支援部隊の任務    ・各支援部隊の任務を示す。  D. 調整事項   ・複数の部隊に共通の調整事項を示す。    1. 行進、隊形、移動方法。砂盤やスケッチなどを用いる。    2. 小休止、大休止のSOP    3. 主要経路、予備経路。詳細な方位と距離を与える。    4. 出発点と連絡線(兵站線)    5. 各集合地点(Rally Points)と各集合地点での行動。(浸入集合地点 : IRP 主要集合地点 : ORP (他部隊も何度も使用するような主要な集合地点)哨戒基地 : PB 再入集合地点 : RRP (再び戻ってくるような集合地点)座標や地形を参照。    6. 各危険地帯(Denger areas)での行動。    7. 接敵時の行動。    8. 再編成や統合の指示。    9. 火力配分 : 全火器。地域射撃(Arei fire)と点射撃(Point fire)    10. 射撃指揮    11. MOPP "任務志向防護態勢" NBC戦に対応する準備態勢。Level 0 から Level 4までの5段階。    12. 部隊保護と放射能被爆基準値(Operational Exposure Guide)    13. 日程 "Time Schedules" (予行、ブリーフィング、点検、移動)どこで、いつ、だれがなど 5W 14. 優先情報要求 "Priority Intelligence Requirements : PIR" 重要度の高い情報から先に報告したり、質問したりすること。    15. デブリーフィングの要求    16. 報告 : ACE報告やSALUTE報告、SALTA報告などの基準    17. 交戦規定 "Rules of Engagement : ROE"     ○全般      ・武器を使用しても良い 時      ・武器を使用しても良い 場所      ・武器を使用しても良い 相手      ・使用するべき武器     ○統制      ・上官から禁止されない限り、独断で行ってよい行動      ・上官から指示されない限り、取ってはならない行動     ○補足 Ⅳ. 補給支援 : 行動中の部隊を維持するのに必要な、物資の補給および支援の情報を掲示する。  A. 一般   ・作戦持続のための補給支援SOP   ・補給、集積資材ポイント。   ・負傷者および故障装備   ・負傷者収容地点 "CCP"   ・メディバックピックアップゾーン(Medevac PZ)   ・衛生兵など、医療従事者への指示。(トリアージや9 Line Medevac Procedures)  B. 資材と補給   1. 補給全般    a. Class 1 : 糧食(食品と水)    b. Class 2 : 衣服および個々の機器    c. Class 3 : 燃料 "POL"    d. Class 4 : 建設    e. Class 5 : 個人要求物品    f. Class 6 : 主最終品目 "Major End Item"(単体もしくは複数の個体で構成する結合品。それ自体で使用可能。)    g. Class 7 : 衛生    h. Class 8 : 修理用部品    i. Class 9 : 農業経済開発    j. Class 10 : 配当方法 (小隊軍曹、分隊長、班長)   2. 輸送   3. 支援 (洗濯、シャワーなど)   4. 整備 (武器、機器、車両)作業の優先順位や設備を維持する計画  C. 医療後送 "Medical Evacuation : MEDVAC"   ・死者及び負傷者を後送する方法。各受傷者には優先順位をつける。  D. 人事   ・捕虜 "Enemy Prisoner of War : EPW" の取り扱いと、捕虜収容地点 "EPW Collection Point"      E. その他   ・特殊装備   ・鹵獲装備(破壊するのか、移動するのかなどの要領) Ⅴ. 指揮通信 : 作戦中の指揮及び通信について  A. 指揮   1. 上級部隊指揮官の位置やそのCPの位置。(中隊命令ならば中隊本部(HQ)の位置。小隊命令ならHQや小隊長、小隊軍曹の位置。分隊命令なら小隊長や小隊軍曹、分隊長の位置)   2. 主要人員の位置   3. 指揮権継承 "Succession of Command" (指揮官がかけた場合の指揮権の継承はどうするのか)(次期指揮官 "Second in Comander : 2IC" )例えば小隊長→小隊軍曹→(原則として上位)分隊長→(原則として上位)班長。これを明らかにしておく。   4. 指揮に関するSOPの調整  B. 通信   1. 通信規定 "Signal Operation Instructions : SOI" (周波数、呼び出し符号 "コールサイン"。電波使用制限)   2. 通信の優先順位   3. 火工信号 (撤退、リフト "延伸"、シフトファイア "転移射" 突撃 などすべての重要な信号。手信号も含む)   4. 隠語 "Codewords"   5. 誰何と合言葉 (誰何(すいか)相手を識別するため「誰か」などと尋ねること。合言葉 「誰か」などと尋ねられた時に返す合言葉。ノルマンディー上陸作戦では「サンダー」→「フラッシュ」となっていた。一部映画では逆になっているが)   6. 暗証番号   7. 合言葉の実施   8. 認識信号(遠/近、昼/夜)   9. 無線士への指示    CONELRAD : Control of Electromagnetc Radiation : 電波管制     1. 電波通常管制 : 重要な事項以外、通信禁止     2. 電波警戒管制 : 絶対必要な事項以外、通信禁止     3. 電波非常管制 : 絶対必要かつ緊急の事項以外、通信禁止     4. 電波封止 : 一切の通信禁止 ―――――――――――――――――――――――――――――――― Section [指揮官の自主責任的な任務の遂行] 指揮官は、状況の急変により適時これに応ずる命令を受領できない場合にも、全般の状況を考察し、新たな状況に応ずる上級部隊指揮官の企図および自己に与えられる任務を明察し、状況の変化に応ずる最良の方策を決定し、あらゆる困難を克服して自主積極的に任務を遂行しなければならない。 特に、部隊が分断孤立し、通信・連絡が途絶する等の真に困難な状況に陥った場合にも、指揮官は、遅疑逡巡することなく、積極的に打開策を講ずる等、自主的に行動することが極めて重要である。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― Section [指揮の要訣] 指揮の要訣は、指揮下部隊を確実に掌握し、明確な企図の下に適時適切な命令を与えてその行動を律し、もって指揮下部隊をしてその任務達成に邁進させるにある。この際、指揮下部隊に対する統制を必要最小限にし、自主裁量の余地を与えることに留意しなければならない。 指揮下部隊の掌握を確実にするため、良好な統御、確実な現況の把握および実行の監督は、特に重要である。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― Section [統御] 良好な統御は、部隊及び隊員をして上下一体となってその任務を忠実かつ積極的に遂行し得るよう感化を与えその能力を最高度に発揮させる。 指揮官は、良好な統御を基盤として効果的に指揮権を行使し、任務の遂行を図らなければならない。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― Section [指揮系統] 1 指揮系統の遵守 指揮系統を確立し、常に指揮権の所在を明確にすることは、作戦・戦闘行動の統一を図る根本である。 2 指揮系統を異にする部隊の指揮関係 ⑴指揮系統を異にする部隊を同一目的に向かって行動させる場合に、これを一指揮下に統一するか、または、相互の共同連携に任せるかは状況によるが戦闘に当たっては、通常一指揮下に統一する。いずれの場合においても、上級部隊指揮官は、指揮官系または協同の要領について明示することが必要である。 ⑵指揮系統を異にする部隊が、明確な統制を受けることなく同一地に在って共通の目的のために戦闘するに至った場合には、上級部隊指揮官からの命令が下るまで、その地に在る上級、先任の指揮官がその戦闘の指揮をとる。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― Section [指揮官の位置] 作戦・戦闘間、指揮官は、部隊の指揮が最も安易な地点に位置する。このため、通常指揮所において指揮するが、必要に応じて緊要な地点に進出する。 指揮官は、その位置を移動するにあたり、常に指揮所との連絡を確保するとともに、指揮所における業務の中断を防止する処置を講じなければならない。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― Section [幕僚の活用] 卓越した指揮・統御は、適時適切な幕僚の補佐によって、その実行を収めることができる。 このため、指揮官は、幕僚に対し、適時に明確な指針を示して幕僚活動の準拠を与えなければならない。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― Section [幕僚] 1 幕僚は、指揮官を補佐するものであり、部隊を指揮する権限を持たない。幕僚が指揮官から権限を委任された場合には、指揮官の名においてこれを行使する。 2 幕僚活動の根源は、指揮官にある。幕僚は、指揮官の意図に徹底及び威徳の発揚に努めるとともに、上下の意思の疎通を図ることが極めて重要である。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― Section [状況判断及び決心 要旨] 状況判断は、指揮官が任務達成のため、最良の行動方針を決定するために行うものであり、決心は状況判断に基づく最良の行動方針を実行に移す指揮官意志の決定である。 指揮官は、継続的に状況判断を行い、適時適切に決心しなければならない。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― Section [状況判断] 任務を基礎とし、何をいつ、決定すべきかを至当に判断することは、状況判断の基礎的要件である。 状況判断は、不断に変化し、かつ、推移する状況に即応するように、継続的に行わなければならない。 このため、作戦の進展に伴い必要な事項を適時に判断し、あるいは側に結論を得た事項についてもその結論に影響した要因の変化に応じて所要の修正を加えることが必要である。 状況判断に当たっては、状況並びに部隊の地位及び特性等に応じ、考察すべき要因の時間的・空間的羽仁を適切に選定することが必要である。 2 状況判断と幕僚見積の関係 指揮官は、状況判断を行うに当たり、適時各幕僚に指針を示して見積もりを行わせ、その成果を活用する。 3 状況判断の要領 ⑴状況判断にあたっては、任務を基礎とし、任務達成に影響するあらゆる要因を論理的に考察して結論に到達する。このためには卓越した戦略、戦術能力が必要である。この際、先入観に陥り、あるいは根拠のない直感に頼ることは厳に戒めなければならない。 ⑵任務の分析にあたっては、任務に基づき具体的に達成すべき目標とその目的とを明らかにする。 任務は、通常上級部隊指揮官から達成すべき目標またはこれと目的をもって示される。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― Section [対敵動作] (Action on Concat) ハードコンタクト : 敵方に対し、直ちに横隊を形成 ソフトコンタクト : その場に伏せるか、身を低く保ちながらゆっくりと移動し遮蔽物に付く。 ※ハードコンタクト 交戦の開始された接敵 ※ソフトコンタクト 交戦が開始されていない接敵  ―――――――――――――――――――――――――――――――― Section [接敵報告 (Contact Report)] *A3DLA* ・Alert (警報) 「コンタクト」 ・Direction (方向) 「フロント」 *詳細な方位、時計法など ・Distance (距離) 「500m」 ・Description (種類) 「敵散兵」 ・Landmark  (目印) 「青い屋根の家の近く」  ・Activity (活動) 「SW移動中」  ※分かった情報から先に伝えていく。 ------------------------------------------------- *SALT* (ソルト) ・Size (規模) 「SALT報告。敵分隊」 ・Activity (活動) 「NE移動中」 ・Location (位置) 「座標○○○-○○○ BOX 5」*3D でも良い ・Time (時間) 「2分前」*0000時。交戦した際は、交戦(継続)時間も報告する。 ------------------------------------------------- *SALTA* (サルタ) ・Size (規模) 「SALTA報告。敵戦車」 ・Activity (Enemy) (敵の行動) 「停止防御中」 ・Location (位置) 「座標○○○-○○○ BOX 5」など ・Time (時間) 「2分前」*0000時。交戦した際は、交戦(継続)時間も報告する。 ・Activity (Friend) (味方の行動) 「横隊にて偵察を継続中」 ------------------------------------------------- ※距離 Close (至近(距離) 0~50m Near (近い:近距離) 50~200m Midle   (中距離) 200~600m Far   (遠い:遠距離) 600m~ ―――――――――――――――――――――――――――――――― Section [LACE Report] (ACEの場合もあり) レース報告、エース報告 ・Liquid (飲料水) ・Ammo (弾薬) ・Casualty(負傷) ・Equipment(装備) Green : 弾薬、飲料水50%以上。負傷、装備、異常無し Yello : 弾薬、飲料水50%未満。軽傷。装備に軽微な損傷有り。 Red : 弾薬、飲料水25%未満。重傷。装備に甚大な損傷有り。 Black : 弾薬、飲料水ほぼ無し。戦死。装備大破。 例 弾薬34%。軽傷、装備異常なし。 「ACE報告。イエロー、イエロー、グリーン、以上」 例 弾薬10%。軽傷。ハンヴィー大破 「ACE報告。レッド、イエロー、ハンヴィーブラック、以上」 - 例 弾薬0%。AT残弾1。重傷。ハンヴィー中破。 「ACE報告。小銃ブラック、ATは残弾1。レッド、ハンヴィーイエロー、以上」 ―――――――――――――――――――――――――――――――― Section [METT-TC]  作戦を考案する上での留意事項 Mission 任務 Enemy 敵情 Terrain and Weather  地形及び天候 Troops and Support Available 味方部隊及び利用可能な支援 Time Available 利用可能な時間 Civil Considerations 市民への考慮 ―――――――――――――――――――――――――――――――― Section [戦いの原則] Principles of War 1. 目標の原則 目標を明確に定めなければ、軍隊の火力は分散する 2. 統一の原則 全ての隊員が、責任を持つ一人の指揮官に統一されること。一つの意思に統一出来なければ、軍隊は分散する。 3. 主導の原則 孫子曰く、人に致して人に致されず。将棋でも囲碁でも会議でも、先手を打ち主導権を得たものが戦況を制する。 4. 集中の原則 孫子曰く、十を以って其の一を攻むる。力を分散させるより、一点に集中させた方が圧倒的に勝率が上がる。 5. 奇襲の原則 孫子曰く、戦いは正を以って合い、奇を以って勝つ。奇襲が出来なければ、戦闘に勝利は出来ない。 6. 機動の原則 孫子曰く、疾きことは風の如し。敵よりも圧倒的に早い機動戦を実施し、敵に対応の隙を与えるな。 7. 経済の原則 コップ一杯に入った水の上に水滴を一滴垂らすと、勢いよくその水があふれ出す。予備部隊の存在はそれにある。 8. 簡明の原則 複雑な命令は、部隊に混乱をもたらす。目的、目標を明確にし、作戦のコンセプトを奇抜、大胆、明快、新鮮にせよ。 9. 警戒の原則 警戒を怠り背後や睡眠時を襲われた部隊は、壊滅する。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― Section [自衛隊 戦いの原則] (1)目標 : 戦いにおいては、目的に対して決定的意義を有する目標を確立し、その達成を追求しなければならない。作戦行動究極の目的は、敵の戦意を破砕して戦勝を獲得するにある。 (2)主動 : 主動の地位を保持して戦勢を支配することは、戦勝獲得のためきわめて重要である。攻撃は主導性を確保して決定的成果を収めうる最良の方法である。 (3)集中 : 有形・無形の各種戦闘力を総合して、敵にまさる威力を緊要な時期と場所に集中発揮することは、戦勝獲得のためきわめて重要である。 (4)経済 : 戦いにおいては全戦闘力を有効に活用しなければならない。特に決勝点以外に使用する戦闘力を必要最小限にとどめる。 (5)統一 : 統一は、各部隊の全戦闘力を総合して、共通の目標を達成するためきわめて重要である。緊密な調整と関係部隊間の積極的な協力が必要であり、一人の指揮官に必要な権限を与える場合、統一は最も容易となる。 (6)機動 : 機動は、所望の時期と場所に所望の戦闘力を集中して、相対戦闘力を我に有利にするためきわめて重要である。運動力の発揮、気象・地形の克服、火力の発揚および適切な兵站支援により、機動力の発揮に努めなければならない。 (7)奇襲 : 奇襲は、相対戦闘力を我に有利にし、戦勝を獲得するためきわめて重要であり、敵の意表に出て対応のいとまを与えないことは、奇襲成功の要件である。 (8)簡明 : 戦いは、錯誤と混乱を伴うのが常態である。このため、作戦はすべて簡明を基調としなければならない。 (9)保全 : 保全は、敵の脅威に対してわが部隊を防護し、行動の自由を確保するため重要であり、適切な情報と警戒とは、保全のための基本手段である。 ※目 主 集 経 統 機 奇 簡 保 で覚える。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― Section [3対1の法則] *攻撃三倍の法則 敵が防御している陣地を攻め落とすには、その三倍の戦力が必要になる、という法則。圧倒的に防御側が有利であるという法則である。 ―――――――――――――――――――――――――――――――― Section *IFAK SOP*  ・IFAK(Individual First Aid Kit) 個人用応急治療装備 ・Bandage (Basic)  x10 ・Bandage (Elastic)  x10 ・Basic Field Dressing (QuikClot) x10 ・Packing Bandage x10 ・Tourniquet (CAT)  x1 ・Nasopharyngeal Tube  x1 ・Morphine x3 ・Epinephrine  x3 ・Atropine  x3 ・Saline IV 500ml  x3 ・Personal Aid Kit  x2 ・Earplug x1 ------------------------------------------------- *制圧射撃SOP*  ・撃たれている時は=速射  ・撃たれていない時は=普通射以下 ------------------------------------------------- *手榴弾SOP*  1. 目標確認  2. 照準確認  3. 投擲号令  4. 投擲  5. 投擲した手榴弾が跳ね返ってこないか確認(危険であればグレネードと叫ぶ)  6. 遮蔽を取るか、伏せる  7. 爆発 8. 制圧射撃 ―――――――――――――――――――――――――――――――― Section [OCOCA] オコカ (移動の際に考慮する項目)  Observation and fields of fire. 観測と射界  Cover and concealment.   掩蔽と隠蔽  Obstacles.   障害物  Key and decisive terrain.  緊要地形   Avenues of approach.   接近経路 ―――――――――――――――――――――――――――――――― Section [攻撃指揮手順] ① 敵の戦力は ② 目標に対する攻撃は必要か ③ 自隊の位置は適切か ④ 攻撃の方法は ⑤ 接近経路は ⑥ 敵はどのような行動をとるか ⑦ 緊急時は ⑧ 自隊で撃破可能か ⑨ 脆弱点の保護は ⑩ 準備命令の下達 ⑪ 準備命令遂行の確認 ⑫ 命令の発令 ⑬ 監督 ① 敵の戦力を計る。 ・ 規模 ・ 装備 ・ 練度 ・ 士気 ・ 指揮官 ② 目標に対する攻撃は、この状況で必要か考える。 ・ まだ良い攻撃目標があるのではないか ・ 今この目標に攻撃することは、部隊に利するのか ・まだ別の戦術があるのではないか ③ 自隊の位置は適切であるか、確認する。 ・ ここよりも良い地点は無いのか ・ 遮蔽は適切に取れているか ・ 地形地物を有効に活用できているか ・ 最適な隊形を選択できているか ・ 側面及び後方の警戒員は配置されているか ④ 攻撃の方法はどうするのか。 ・ 使用する武器は ・ 残弾は ・ 絶好の攻撃のタイミングは ・ 号令は ・ 射撃間隔は ・ 指定射撃しないのか ・ 支援は ・ 隊形は ・ 前進方法は ⑤ 接近経路はどうするのか。 OCOKA ・ 視界と射界 (視界はどの程度か。射撃の範囲はどの程度か) ・ 掩蔽と隠蔽 (掩蔽物と隠蔽物は、どの位置にあり、どの程度あるのか) ・ 障害物 (障害となりうるものは、どの位置にあり、どの程度あるのか) ・ 緊要地形 (敵に利用されそう又は利用できそうな重要な地形は、どの位置にあり、どの程度あるのか) ・ 接近経路 (上記を踏まえての接近経路は、どれか) ⑥ 敵はどのような行動をとるのか ・ 最も考えられる敵の動きは ・ 最も危険な敵の動きは ⑦ 緊急時はどうするのか。 ・ 撤退経路は ・ 撤退場所は ・ 撤退の判断は ・ 撤退の合図は ⑧ 自隊で撃破可能か ・ 戦力は足りるのか ・ 戦術は十分か ・ 士気はあるか ・ 怯えていないか ⑨ 脆弱点の保護 ・ 自隊の脆弱なポイントは無いか ・ その脆弱点をカバーする方法はあるか ・ カバーの実施 (笑い。励ます。助言。是正) ⑩ 準備命令の下達 ・ どの目標に攻撃するのか ・ どうして攻撃するのか ・ 攻撃方法は ・ 必要な準備は ・ 使用する武器は ・ 射撃間隔は ・ 指定射撃は ・ 支援は ・ 隊形は ・ 前進方法は ・ 敵はどのような行動をとるのか ・ 緊急時は ・ 補足 ・ 質問 ⑪ 準備命令遂行の確認 ・ 準備命令通りの準備行動が行えているか ・ 何か大きく間違った点は無いか (自身も隊員も) ・ おかしな隊員はいないか (違う方向を向いている。放置など) ・ 改めて質問はないか ・ 全員の準備は完了しているか ⑫ 命令の発令 ・号令などを用い、命令の発令を行う。 ⑬ 監督 ・ 作戦が円滑に遂行されているか ・ 敵の動きは ・ 残弾には余裕があるか ・ 隊員は遮蔽を取れているか ・ 射撃間隔は適正か ・ 負傷者は発生していないか ・ 負傷者の治療は適切に行われているか ・ 隊形は崩れていないか ・ 撤退は必要でないか ・ 緊急事態は発生していないか ・ 何か間違っていないか (自身も隊員も) ・ おかしな隊員はいないか ―――――――――――――――――――――――――――――――― Section