衆を治むること寡を治むるが如くなるは、分数是れなり
大部隊をまるで小部隊かのように操るためには、組織の編成を簡明にしなければならない
・ 既存の軍の編成にならうことは、これを達するに一番手っ取り早い
衆を闘わしむること寡を闘わしむるが如くなるは、形名是れなり
大部隊をまるで小部隊かのように戦わせるためには、指揮統制、情報伝達系統を確率しなければならない。
・ 基準や基礎を設けていない場合、問題が生じることは明らかである。
三軍の衆、必ず敵を受けて敗るること無からしむ可き者は、奇正是れなり
全軍が攻撃を受けても敗れないようにしたい者は、奇策と正攻法を適切に使い分けなければならない。
・ 正攻法だけ覚えてもダメである。状況次第による奇策を考え、使用して行かなければならない。
兵の加わる所、碬をもって卵に投ずるが如くするは、虚実是れなり
我の攻撃を、石で卵を割るように成功させるためには、十分に準備を整えた上で敵のスキを付くことが必要である。
・ 我の準備と敵の弱点を突くこと。これは孫子が執拗に強調するほど、重要なことである。
凡そ戦いは正を以て合い、奇を以て勝つ
戦争は、正攻法で戦いながら、奇策を使うことによって勝利する
・ 正攻法は教科書を見れば誰でも覚えられる。しかし奇策は、その限りではない。
色は五に過ぎざるも、五色の変は勝げて観る可からず
5色の色があれば、無尽蔵に沢山の色を作りだすことが出来る。
・ 基本原則を理解していれば、それを使って沢山の戦術を編み出すことが出来る。例えば武術の一つの基本の型は、一つの状況でしか使えないわけではない。一つの型は、沢山の状況に応用を聴かせることが出来るのである。
紛紛紜紜として闘い乱れて、乱す可からず。渾渾沌沌として形円にして、敗る可からず
乱戦になっても、部隊編成は乱してはならない。混戦になっても、指揮統制、情報伝達系統を乱してはならない。
・ 指揮官や隊員が負傷又は死亡することは、戦争の常である。しかしその喪失で、部隊編成や指揮統制系統が乱れるようでは、戦争に勝つことは出来ない。
善く敵を動かすには、之に形すれば敵必ず之に従い、之に予うれば敵必ず之を取る
敵を意図的に動かそうとする場合は、敵が動かなければならない状況を作りだすことが必要だ。
・ 敵にとって不利又は絶好の状態を作りだせば、敵はこちらの思惑通りに動く。餌と罠を使い分けるのだ。
善く人を戦わしむるの勢、円石を千仭の山より転がすが如きは勢なり
兵士にやる気を出させれば、丸い石を高い山から転がすように勢いをつけることが出来る。
・ 勢いが欲しければ、やる気を持たせろ。
激水の疾くして石を漂わすに至るは、勢いなり
激流が岩をも動かしてしまうのは、流れの勢いが強いからだ。
・ 部隊の勢いは、部隊の戦術の中で特に大切な事である。